本当の美とは何か。 美の本質を伝える人気連載コラム。
最近テレビを見ていたらファッションモデルが無理なダイエットが原因で拒食症になり、死亡したということが問題となっているというようなことが特集されていました。それは相当痩せていないとモデルの仕事が廻ってこないということに起因していたようです。同時にあるアフリカの部族では太っている女性が美しいとされていて、太るためにどれぐらい涙ぐましい努力をしているかというようなことも取り上げられていました。
ヨーロッパにおいては結構近年になっても、ルノアールの絵やゴーギャンの絵にも見られるようにふくよかなあるいは健康的な女性が美しく描かれていたりもしています。
日本におきましても遠くいにしえの時代においては、ふくよかな女性が美しいとされていたこともあるようですが、少なくとも近世以降はどうもほっそりした女性が良いようにされていたようです。それは江戸時代の浮世絵や一世を風靡した夢二の絵を見ても明らかと言えるでしょう。
以前にも申し上げましたように感動を本質とする美は、その内容において「生きる喜び」とわびさびといったような「枯淡の風雅」ともいうべき美に大きく二つに区分されるとするならば、痩せてほっそりした美しさというのは後者の日本的枯淡の風雅的美しさということもできるのではないかと思います。はかなく、けなげな美しさというのは、痩せてほっそりとしていたほうが雰囲気が出やすいと言えるでしょう。
もちろん女性の美しさということについては、人の根源をなす性という観点からの考察が大変に重要でありますが、この点に関しましては今回は触れないでおくこととしましょう。
また流行という観点から考察することも重要です。この点に関しましては次回のテーマとすることにさせていただきます。