近頃、気持ちが落ち着かない。いつもゆらゆら揺れ動いている。そういう人が今少なくない。でも大丈夫、それは"今"という時代を敏感に感じ取っている証に他ならないから。
2020年は、大きな大きな変化の年と言われる。いわゆる星回りによるそうした変化は2019年から始まっていたけれど、言うまでもなく2020年、日本にとっては東京オリンピックもある特別な年。そこに向けて社会の様々なモノやコトが動いていっているのは確かで、気持ちがざわつくのは当然のことなのだ。
そして奇しくも、昨年あたりからにわかにクローズアップされ、現実として語られるようになったのが、「人生100年」という未来。これまで何となく人生80年だったのが、突然のように100年に伸びたことで、最初は大いに喜んだはずだけれど、それが具体性を帯びてくるにつれ、逆に不安にもなったはずなのだ。
言うまでもなく、肉体はその100年という年月についていけるのだろうか? 筋肉は大丈夫? 脳は? そしてもちろん経済的なことは? いろんな不安が一気に押し寄せているはずなのだ。
でも、そうした未知なる将来への不安には、期待がセットになってくる。期待と不安はいつも背中あわせ。人生100年に伸びましたと言われていきなり嬉しくなったように、まずは一気に期待が膨らむ。でも少し冷静になると、同時に不安が湧き上がり、でもまたその不安から新たな期待も湧いてくる。
だから、不安を持つのは決して悪いことではないと思う。むしろ安心が続くのはある意味で緊張感を奪い、年齢を重ねる上ではあまり望ましいこととは言えない。毎日毎日同じことの繰り返しは、刺激もない分、老化につながってしまうのだ。常に新しいことに取り組み、知らない人に出会う時、多少の不安もあるけれど、同時に期待や好奇心も生まれる、そこに若々しい生命エネルギーが生まれるのではないか。
だからこそ、変化の年には人は若返る。想定できないことが起こったり、取り巻く環境が大きく変わったり、意識や価値観が変化したり、そういうことが大きな刺激となり、期待感や好奇心を生んでエネルギーを生み出すからである。
もちろん肌のゆらぎは別。季節の変わり目に肌が荒れやすくなったり、時々肌が敏感になったり、お手入れが効かなくなったり、肌がゆらぐ原因は内的・外的ストレス、やはりネガティブな要因がほとんどだから。逆に肌の底力を高め、免疫を高めれば、肌はゆらがなくなるはずだが、それこそ期待や好奇心は肌の底力を高めて、エイジングケアのスイッチをオンしてくれるとも言われる。だからそうした心のゆらぎはむしろ、いつまでも若々しく美しくある1つの鍵とも言えるはずなのだ。
大きな大きな変化の年、時代の流れに上手に身を任せて、少しだけゆらゆらしながら、期待と好奇心で胸をいっぱいにしたいもの。そしてどんどんキレイになっていく年にしたいものである。
齋藤薫
Kaoru Saito
女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新著『大人の女よ!もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。
ずっと美しい人の秘密に迫った、読む"美容本"。
『大人の女よ!もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)