心も美しく

【齋藤薫】“シンデレラの靴”を買うすすめ

Beauty Style

Vol.1

2023.06.01 UPDATE

少女の頃に読んだお伽話には、なぜだか今もなお引っかかっている疑問がいくつかある。たとえば、『シンデレラ』。お城に残されていた靴はなぜガラス製だったのだろう? とか、その靴が履ける女性は、なぜ国中でシンデレラだけだったのだろうとか。もっと意地悪な見方をすれば、そもそもなぜ靴だけ魔法がとけなかったのだろうとか?
でもそれを今、こう理解してみた。それだけ女にとって靴は重要なアイテムなのだと。女が輝くかくすむか、それを分けるカギが、すなわち靴なのだと。

ある人が言った。「シンデレラの靴って、本当にあるのね」と。
何でも、通りすがりで“ひと目惚れ”してしまったのは、今まで履いたこともないほどラグジュアリーにして華奢な美しい美しい靴。その細いヒールは悠に10センチはあって、それもやっぱり今まで履いたことのない高さ。

しかもクリスチャン・ルブタンのその靴は、もちろん靴としてはひどく高価なのだけれど、何かの力に導かれるように迷うことなく衝動買いしてしまったと言うのだ。

確かに、こんな靴を一体いつどこで履くの? という疑問も片方にあったけれど、何かその買いもので、自分をもう一度リセットできそうな気がしたからというのである。
そしてその靴を履くために、じつは新しい服も買った。何でもないチューブドレスなのに、その靴に合わせたら、何倍もゴージャスに見えた。靴の力ってすごいと思ったという。

何より、その靴を履く自分がとても“高い女”になった気がして、仕草までが変わってきたとその人は言った。靴の洗練とクオリティは、全身をめぐって履く人をそっくり変えてしまうほどの魔法をもっているということなのだ。まさに“シンデレラの靴”のように。
まず、高いヒールの靴はそれだけで女度を高める力をもっている。ある学者はハイヒールを履くだけで、女性ホルモンの分泌が高まると主張しているが、確かにかかとだけを上げるあの体勢で歩けるのは女性だけ。女性の生理とつながっていてもおかしくない。
だから女はいくつになっても、ハイヒールを履き続けることが、“もうひとつのアンチエイジング”となるのである。

じゃあ、なぜシンデレラの靴は“ガラス製”だったのだろう? それはずばり、歩きにくい靴が美しい女を育てるから。極上の、芸術品のような靴は、もともと誰かにエスコートされ、送り迎えされる女の靴。だから履きずらくてもいいのである。そういう靴を履くほどに、全身によい緊張が行き渡り、女は高みに上がれる。だからたまには私たちも、ガラスのような靴を履くべきなのである。
一足の靴が、女の中の女を目覚めさせる。そういう不思議が成立することを、ぜひ信じてみてほしい。そして、シンデレラの靴を買ってほしい。もうひとつのアンチエイジングとして。

齋藤薫

Kaoru Saito

美容ジャーナリスト/エッセイスト
女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新著『大人の女よ!もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。
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