健康で美しくあるためには、体の中で、そして肌の内側でも、きちんとした「化学変化」を起こすことが必要。そう言いましたが、見た目の老化を考えた場合、実は「物理的変化」というものが非常に大きな影響を与えていることも、無視できません。

人間はこの地球上に生まれてからずっと、引力によって下に引っ張られています。その物理的な影響を受けて、肌のたるみといったことも起きるわけです。これを防ぐためには、皮膚の表面だけでなく脂肪とかその下の筋肉についても、考えなくてはいけません。皮膚の下垂、老化というのは年々どうしても進むものですが、筋肉は別で、これは鍛錬すればするほど発達するのです。体の筋肉を鍛えている人は、若々しいでしょう？ 顔についても同じことが言えるのです。ただし筋肉というのは、基本的には骨と結びついているのですが、面白いことに顔だけは違います。顔の筋肉は、皮膚に直接ついているんですね。そして筋肉の動きが表情として現れます。足の裏が笑っている……なんてことはあり得ませんが、顔だけはそういう特殊性を持っていて、だからこれを表情筋といいます。この表情筋を鍛えれば、若々しさを保てるのです。日頃から表情の運動、「フェイスストレッチング」などを続けるのもいいでしょう。ただし意識しての運動だけでなく、確実に言えるのは、日常生活で表情豊かな人は若い、ということ。あまり表情のない人は、脂肪もつきやすいしたるみも進みがちなのです。だから意識して顔の運動をしようなどと考える以前に、いかに日常生活を心豊かに過ごすかということを、考えたほうがいいのかもしれません。

つまり若さを保つということ、そして美容をきちんととらえるためには、化学的な要素と物理的な要素、さらにはその根本にある精神的な要素、これらがさまざまな形で影響しあっているということを、忘れてはいけないのです。