心も美しく

日本独特の美意識

美の本質は感動

No.20

2023.06.01 UPDATE

本当の美とは何か。 美の本質を伝える人気連載コラム。

これまで「美」ということについて、さまざまな角度からお話ししてきましたが、ここでもう一度、日本人が忘れてはならない美意識について考えてみたいと思います。

価値観の基本とされる「真・善・美」。西洋ではこの中でも「真」、つまり真理にいちばんの価値を見出してきました。その結果合理主義が生まれ、合理主義的な価値観がすべてのベースになったのです。しかし、日本は西洋とは異なる価値観を持もっています。歴史を遡り、本質的なところを探ると、日本ならではの美意識というものが見えてきます。

ひとことで「日本人」といっても、日本にはそもそも北からも南からも人が入ってきています。ロシア、朝鮮半島、中国大陸、ポリネシア……、さまざまな民族を寄せ集めた国なわけです。そしてほかの国では、互いに他民族を排斥しようと争ったりしてきたけれど、日本では仲良く共存することを尊び、「どんな意見もそれなりにいいのでは?」というような曖昧さが、日本文化の最大の特徴になりました。理屈ではなく「なんとなく」、みんなの幸せによさそうだということが価値の基準になり、美意識の根底にあって動かされてきたのです。だから異文化もことごとく受け入れて、排するということがなかった。たとえば漢字が入ってくればそれを受け入れ、それだけでは日本の言葉にそぐわないということで、その音だけを捉え、ひらがなとカタカナを生み出したり。そしてカタカナをもっていたおかげで、日本は西洋の言葉もそのまま取り入れて、グローバル化できたのです。今、ケーキひとつとっても、日本ではどこよりもおいしいものが食べられますが、それも日本が新しいものを受け入れ、アレンジして洗練させてきた結果といえます。

さらにそのベースには、日本が多神教で、いろいろな神様を尊重してきたということもあり、様々な文化を融合させるためものごとを抽象的にとらえてきたのです。イメージだとか、昔の言葉でいう「面影」だとか、そういうものを大切にする。目に見える形より、目に見えないところを重視して、「心」を動かすものを追求してきた結果、日本人は世界的にも水準の高い、独特の美意識を構築できたのです。

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