日本文化を応援します

茶道 学ぶ、おもてなしの心

Artist interview

掲載号 夏 2012 茶道

2023.06.01 UPDATE

日本文化を普及するために、様々な伝統芸能や伝統品、
また日本文化を継承する方々を紹介してきました。

茶道 裏千家 今藤 宗美 様

茶道の精神「一期一会」は、 またとない“今”を大切にする心

冨宅:もともと茶道には「一期一会」という精神がございますが、先生のお言葉でぜひその意味をお教えいただけますでしょうか。

今藤:今ではよく使われる言葉となりましたね。お客様をお迎えするその瞬間、瞬間を大切にしてお互いを思い合い、真心を込めておもてなしをして、お客様に楽しんでいただくということですね。今こうしてお話ししている時間もまたとない時間、一期一会。その精神を日常に生かすことは難しいことですけれど、努めてそうありたいものですね。

冨宅:そうですね。また、その積み重ねによって人生も変わるような気がいたします。社長秘書をしておりました20代の頃、社長に『お茶出しひとつで雰囲気が変わる』とよく言われておりました。当時は丁寧にお出しするよう心がけていたものですが、今になりますと、義務的に出されたお茶と、心をこめて出されたお茶とに気づくようになってまいりました。気持ちは目に見えないものですが、改めて一期一会という精神の大切さを実感しております。

今藤:それは素敵なことですね。一期一会の意味を皆さんが感じ取っていただけたら、日本はもっと良くなりますね。

先人たちの美意識によって育まれた茶道は 多くの文化が会する芸術

今藤:茶道は、お茶を点ててお菓子と一緒にいただくことではないんです。門を入ればお庭があり、お庭を通ってお茶室に入れば、お軸、お花、お釜、お茶碗があるという具合に、それぞれが大変な文化を持っています。茶道は、一度に多くの日本文化に触れられる、芸術といえますね。

冨宅:季節感を感じられるというところも素晴らしいですね。

今藤:そうですね。例えばお風炉は半年使い、あとの半年は床の炉になるのですが、炉の中に火を入れてお釜をかけますとね、本当に暖かくなるんです。寒い季節の知恵ですね。こうして昔の方々を思い、もっといろいろなことをお勉強しなくてはと思いますね。

冨宅:おっしゃる通りですね。お茶では花も野に咲いているようなお花を飾りますが、日本人が自然と共存する中で、いかに自然を大切にしてきたか、そして四季を楽しんできたのか、その思いにも触れられる気がいたします。

今藤:どんなことにも意味があります。お茶事では会席料理をお出ししますが、これもご馳走をいただくことではなく、適度なお料理でおなかの具合をちょうどよくして、あとのお茶をよりおいしくいただく。その流れすべてが茶道なのです。

冨宅:すべてに一期一会の精神が生きているということですね。本日は拝見するものすべてに先生の温かいお心を感じました。ありがとうございました。

お客様への心を表す、おもてなし

先生の義弟様の設計によるお茶室にて。建材のひとつひとつが吟味され、細部にまでこだわりを感じる落ち着きのある佇まい。空間作りにも、一期一会の心が漂います。

お花

花は、お軸とのバランスが大切。この日は、桔梗(白と紫)、河原撫子、山吹升麻、糸芒が活けられました。
花入:篭 芋頭

掛け軸

国立劇場大劇場「鏡獅子」も手がけた彫刻家、平櫛田中様が106歳でお書きになった書。先生とご主人、平櫛様との思い出が秘められた、大切なお品のひとつ。
「雪月花」平櫛田中 筆

お茶碗

「主人は、みなさんでお稽古のときに使っていただくのがとても楽しみだったようです。特に土のものは、使うほどに味わいが増してまいりますね」と先生。ご主人がご自宅の窯で焼かれた陶器は、モダンで美しい作品ばかり。
「平茶器」三世 今藤長十郎 造

お菓子とお菓子皿

別荘のある八ヶ岳の白樺が描かれた菓子皿も、ご主人の作品。お菓子は、涼やかな青楓。
菓子器:三世 今藤長十郎 造

お茶杓

裏千家大宗匠のお父様にあたる、淡々斎様の作品。
銘:苔清水 淡々斎作

お釜と丸卓

お稽古に使われるお道具は、書や絵画、陶器も多く残されたご主人、三世 今藤長十郎様と、著名作家の方々とのお付き合いが伺える作品ばかり。
風炉:釜「嶌のおそ道釜」初代 長野垤志 造
丸卓:中台瑞真 造
水指:加藤土帰萌 造
薄器:黒田辰秋 辰

茶道では、お道具から掛け軸、お花、茶器などすべて、お客様や季節に合わせてしつらえます。先生の日本文化に対する思いやご主人との思い出に、心豊かな1日となりました。

今藤 宗美

今藤 宗美

書、絵画、陶器など日本の伝統に幅広く親しんだことで知られる長唄今藤流故三世家元 今藤長十郎(人間国宝)夫人。茶道 裏千家 教授。
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